前回は、わくわくゲートが失敗した最大の理由は、
「機能によって生まれた必然的な線を、無理やり隠そうとしたこと」
にあったと分析しました。
人間は、理由のわからない非対称さに対して、不安や違和感(いわゆる“不気味の谷”)を感じます。
逆に言えば、
「なぜ非対称なのか?」が一目でわかるデザインであれば、その違和感は納得感に変わり、さらに機能美へと昇華されるはずです。
今回は、
「もし今、わくわくゲートを復活させるならどう再定義すべきか」
机上の空論ではなく、
実際の使い勝手に即した「左右非対称の完全活用法」を提案します。
「見た目の遊び」ではなく「用途の違い」にする

わくわくゲート最大の特徴は、
テールゲートが縦に分割され、
左側の約6〜7割が横に開く構造にあります。
この構造を前提にすると、
荷室の左右で
- アクセスのしやすさ
- 空間としての役割
が、決定的に異なることになります。
ならば、
内装まで左右対称である必要はありません。
徹底的に、
「左と右で役割を分ける」のです。
左右非対称を“使い切る”設計思想

【左側(開く側):アクションゾーン】
- 役割頻繁に出し入れするもの/汚れたもの/濡れたもの
- 装備防水フロア濡れたウェットスーツやレインコートを掛けられる無骨なフック泥だらけの靴を放り込めるトレイ
- 思想ここは「汚れてもいい場所」
【右側(開かない側):ストレージゾーン】
- 役割整理整頓/着替え/濡らしたくないもの
- 装備多段シェルフ(棚)引き出し小物を収めるネット
- 思想ここは「きれいに使う場所」
こうして左右で明確に機能を分ければ、
ユーザーは直感的にこう理解します。
「ああ、だからドアがここで割れているのか」
非対称な縦線は、
単なる切れ目ではなく、
「汚れ物と清潔な物の境界線」という
明確な意味を持つのです。
SUVの世界では、非対称はすでに“様式”になっている

「左右非対称なんて、やっぱり変だ」と思うでしょうか。
では、視点を少し変えて、
今流行りのSUVやクロスカントリー車を見てください。
- 片側だけに付くルーフラダー(はしご)
- リアゲートの片側に背負ったスペアタイヤ
- 左右で異なるアクセサリー配置
これらは結果として車を左右非対称にします。
それでも、
- 「バランスが悪い」
- 「ダサい」
とは、ほとんど言われません。
むしろ、
- 道具感がある
- ギア(装備)っぽくてかっこいい
- 本物感がある
と、ポジティブに評価されます。
なぜか。
「使うため」という明確な理由があるからです。
わくわくゲートに、この文脈を持ち込む
例えば、
- 縦の開口ラインに沿って、タフな樹脂プロテクターを配置する
- 右側の開かないパネル部分に、モールシステム的な拡張収納意匠を施す
ただ切れ目を入れるのではなく、
「ここは道具として使う場所だ」と一目で分かる表現をする。
そうすれば、
あの縦線は
- 隠したいノイズ →「プロの道具である証」
へと変わります。
結論:非対称を隠さず、「機能のアイコン」にする
わくわくゲート復活のカギは、
中途半端にミニバンらしく振る舞うのをやめることです。
- 左からは、泥だらけのギアを放り込む
- 右には、着替えや清潔な道具をストックする
この使い分けを、
デザインそのもので表現する。
そうすれば、左右非対称はもはや
「癖」ではありません。
合理的なスペックになります。
ここまで来れば、
- 「見た目が変だから」と敬遠していた層は
- 「この形じゃなきゃ意味がない」と感じる層へ
確実に変わるはずです。
そして、次の懸念へ
ただし、冷静な読者なら
こんな疑問が浮かぶかもしれません。
「外見だけアウトドアっぽくしても、
中身が伴っていなければ“なんちゃって”では?」
ご安心ください。
実は今のステップワゴン、
そしてホンダの技術資産は、
当時とは比べ物にならないほど
“中身”もアウトドア向きに進化しています。
次回予告
【第5弾|技術まとめ編】
実は“中身”も今の方が合う
四駆の進化論
次回は精神論ではなく技術論。
現行世代のパワートレインと四駆性能が、
このコンセプトにいかに噛み合っているかを、
メカニズムの視点から解説します。

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