前回は、子育ての泥んこ期において、
オットマンや高級カーペットといった
「おもてなし装備」が、
かえって親のストレスになるという話をしました。
では、メーカーはどうすればいいのでしょうか。
高級路線をやめる?
──いいえ、違います。
答えは、
「完全なる住み分け」です。
ラインナップを「目的別」に再編する
現在のステップワゴンの構成は、
- AIR(標準)
- SPADA(高級)
- CROSSTAR(クロスオーバー)
という並びになっています。
しかし、この構成は
ユーザーの使い方(人生フェーズ)と
必ずしも噛み合っていません。
これを、もっと明確な
「目的別ラインナップ」に再編するのです。
そのカギとなるのが、
わくわくゲートを「CROSSTAR専用装備」として復活させる
という発想です。
「高い方が偉い」という呪いを解く
従来の車選びには、
無意識のヒエラルキーが存在してきました。
- 松:最上級グレード(全部入り・高い・偉い)
- 竹:標準グレード(そこそこ・無難)
- 梅:エントリーグレード(安い・我慢)
この構造の問題点は明確です。
本当は「シンプルで道具的な車」が欲しくても、
それを選ぶと
「予算が足りなかったから下にした」
という“妥協のレッテル”を
自分自身に貼ってしまうことです。
この呪いを解く方法が、
スパーダとクロスターの「水平分業」です。
スパーダとクロスターを“上下”ではなく“役割”で分ける

SPADA(スパーダ):都市型ラグジュアリー
- ターゲット子育てが一段落した層/送迎メイン/快適性重視
- 装備オットマン電動パワーゲート静粛性重視タイヤ高級内装
- メッセージ「家族をもてなす、動くラウンジ」
CROSSTAR(クロスター):野外型ユーティリティ
- ターゲット子育て真っ最中/キャンプ・アウトドア好き/汚れ物が多い
- 装備わくわくゲート(必須)撥水シート防水フロアオールテレーンタイヤ
- メッセージ「遊びを拡張する、プロのギア」
こうなれば、
クロスターを選ぶ理由は
「安いから」ではありません。
「わくわくゲートと防水機能が必要だから」
という、積極的な選択理由になります。
価格がスパーダと同じでも、
ユーザーは納得して買うでしょう。
なぜなら、
そこには代えがたい機能があるからです。
唯一のライバル「デリカD:5」にどう勝つか
「アウトドア×ミニバン」という市場には、
絶対王者が存在します。
三菱・デリカD:5です。
悪路走破性という点では、
デリカは圧倒的です。
ステップワゴンがいくら四駆を磨いても、
パリダカのイメージを持つデリカと
同じ土俵で戦うのは得策ではありません。
ステップワゴンにしかない“別の武器”

しかし、デリカにはなく、
ステップワゴンにしかない武器があります。
それが、
わくわくゲート × 低床フロア
による
圧倒的な「生活アクセスの良さ」です。
- デリカ→ 「どこへでも行ける」走破性(ただし、床が高く、乗り降りや積み下ろしは大変)
- 新生クロスター→ 「どこでも“住める”」居住性と使い勝手
キャンプ場に着いてからの使い勝手、
狭い駐車場でのベビーカーの出し入れ、
子どもが自力で乗り降りできる低さ。
「走りのデリカ」vs「使い勝手のクロスター」
この構図なら、
十分に勝機があります。
むしろ、
ガチのオフロードは走らないけれど、
キャンプの快適性は欲しい
という大多数のファミリー層には、
わくわくゲート付きクロスターの方が
強く刺さるはずです。
「わくわくゲート専用グレード」を作る意義
ここで重要なのが、
あえて
「わくわくゲートはクロスター専用にする」
という決断です。
- スパーダ→ 通常の電動パワーゲートを残す(高級感・すっきりしたデザインを重視)
- クロスター→ わくわくゲートを象徴装備にする(縦線=機能の証・ギア感)
高級感を求める層にとって、
リアの縦線は
やはり「ノイズ」になり得ます。
一方、クロスターを選ぶ層にとって、
あの縦線は
「機能の証」であり「誇り」です。
「わくわくゲートが欲しい人は、
迷わずクロスターを選んでください」
このくらい割り切った方が、
市場へのメッセージは強くなります。
結論:ターゲットを混ぜるな。分けろ。
「誰にでも好かれる車」を作ろうとすると、
- 機能は中途半端になり
- デザインは無難になり
結果として、
誰の心にも刺さらなくなります。
かつてのステップワゴンが
苦戦した理由も、
一つのボディで全方位を狙ったこと
にあったのかもしれません。
- きれい好きなパパへ→ どうぞ、美しいSPADAを
- 泥んこなパパへ→ さあ、最強のCROSSTARを
この2本柱が確立すれば、
ステップワゴンは再び
ミニバン市場の台風の目になるでしょう。
次回予告(最終回)
ただし、
いきなりカタログモデルとして復活させるのは、
メーカーにとってリスクが高いのも事実です。
そこで次回、最終回。
最も現実的で、
かつ最も話題性を呼ぶ
「復活のさせ方」を提案します。
それは、
限られた人だけに届ける
「限定復刻」という手法です。



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