数が増えると価値は下がる?

積極財政

──株は上がるのに、円は下がる?その常識、おかしくないですか

「お金を増やすと価値が下がる。」

こんな話を、一度は聞いたことがあると思います。

インフレ、通貨安、円安──

“お金を増やす=危険”というイメージは、かなり強く刷りれ込まれています。

でも、もしあなたが株式投資を少しでも知っている人なら、

ここで一度「ん?」と立ち止まるはずです。

なぜなら──

株は「数を増やしても」価値が上がることがあるからです。

そう、株式分割です。

では、なぜ株はよくて、円はダメなのでしょうか?

本当に「数が増える=価値が下がる」は絶対のルールなのでしょうか。


株式分割では、なぜ価値が下がらないのか

まず大前提として、株式分割は企業価値そのものを変えません。

たとえば、

企業価値が100万円の会社があり、株が100株発行されているとします。

このとき1株は1万円です。

これを200株に分割すると、

1株あたりの価格は5,000円になります。

──企業価値は、何も変わっていません。

ところが現実には、

株式分割のあとに株価が上がるケースがよくあります。

なぜか。

理由はシンプルで、流動性が上がるからです。

株価が高いと、買える人は限られます。

しかし分割によって1株あたりの価格が下がると、

  • 買える人が増える
  • 参加者が増える
  • 売買が活発になる
  • 注目度が上がる

こうして「取引が回り始める」。

結果として、

企業の本来の価値や将来への期待まで高まることがあるのです。

ここで重要なのは、

「数が増えたから価値が上がった」のではない、という点です。

“動きやすくなった”から価値が評価され直した。

これが本質です。


円の価値は「量」だけで決まるのか?

では、本題です。

「円の量が増えたら、円の価値は下がる」

これは本当に正しいのでしょうか。

株の話を思い出してください。

量そのものが価値を決めるわけではないことは、すでに分かっているはずです。

実は、円を含む通貨の価値を決める要素は、主に次の3つです。

  1. 経済の回転数 どれだけ使われ、どれだけ取引されているか
  2. 生産力(供給力) モノやサービスを生み出せる力があるか
  3. 信用 政治・社会・制度が安定しているか

つまり、

通貨の価値は「どれだけあるか」より、「どれだけ使われているか」

で大きく左右されるのです。


円が増えて、価値が上がるケースもある

ここが、最も重要なポイントです。

実は現実には、

円が増えることで、むしろ価値が上がる方向に働くケースが存在します。

ここでもカギは、やはり流動性です。

お金が動きやすくなると、何が起きるか。

  • 消費が増える
  • 企業の売上が増える
  • 利益が出る
  • 設備投資が行われる
  • 雇用が増える
  • 給与が上がる

そして、

給与が上がれば、再び消費が増える。

結果として、生産も拡大します。

これは単なる理想論ではなく、

経済の基本的な循環構造です。


生活の実感に落とすと、もっと分かりやすい

ここで、少し生活レベルの話をしましょう。

たとえば、

  • 可処分所得が少し増えた
  • 消費税が下がった

それだけで、生活はこう変わります。

  • 今までより「あと1つ」商品が買える
  • 今までより「少し良いもの」を選べる

この**“たった少し”**の違いが、

お金の動きを大きく変えます。

消費 → 売上 → 投資・給与アップ → 生産

この循環が回り始めると、

経済全体の価値が底上げされます。

経済の価値が上がれば、

その国の通貨に対する信用も高まります。

  • 取引が増える
  • 経済が成長する
  • 海外から円が買われる
  • 結果として、円の価値が上がる

こうした流れは、歴史上何度も確認されています。


「お金を増やすとインフレになる」は半分正しく、半分間違い

ここで、よくある反論に答えておきます。

「お金を増やしたら、インフレになるんでしょ?」

これは、半分正しくて、半分間違いです。

インフレが起きる主な原因は2つあります。

  1. 供給力が足りないとき モノが不足して、価格が上がる
  2. お金が過剰に増えたとき 需要が供給を大きく上回る

逆に言えば──

  • 供給力に余裕があり
  • お金が「過剰」ではなく
  • むしろ「足りていない」状態

この場合、

お金を増やすことは**異常ではなく「正常化」**です。

インフレになりにくいどころか、

経済を回すために必要な措置になります。

そして日本は今、まさにこの状況にあります。

需要不足。

供給力には余裕。

そして、円が足りない。


まとめ:価値を決めるのは「量」ではない

株も、円も、

価値を決めるのは「量」ではありません。

  • どれだけ使われるか
  • どれだけ回るか
  • どれだけ信用されるか

もし本当に「量だけで価値が決まる」なら、

株式分割で株価が上がることはありえません。

あなたは、どう思いますか?

  • 「量で決まる派」でしょうか
  • それとも「流動性で決まる派」でしょうか

ぜひ、コメントであなたの考えを聞かせてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました